材料の選択 |
(1)木材の特徴と性質、種類 |
A.木材の組織を調べる |
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(a)木材の幹の横に切断した面を観察すると
(c)木材の木裏面を観察すると不規則な模様がある。 |
まず、はじめに木表と木裏のことでは、木表は木裏より赤味の部分が少なく、木目は木表のほうがやや堅く、削ると表面につやがあってきれいである。一方、もととすえでは、(1)赤味はもとに多く、すえに少ない。(2)年輪は、すえになるほど細くなり。丸味が多くなる。(3)木表と木裏をつきぬけている節を見て、上向きになっているほうがすえになる。(4)木目を見て、板目の山形の先のほうが一般的にはすえになる。(5)木表面を削ってならい目の方向がもとである。板を縦に使う場合は、もとを下にし、すえを上にして使う。すると、木目の山形が自然に見えて、外観もよくなり、じょうぶな構造にすることができる。これを逆にすると、不自然で不安定な感じになってしまう。
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B.木材の性質について調べる |
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C.木材の種類について調べる |
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木材を乾燥させてみよう
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(2)金属の特徴と性質、種類 |
A.金属の特徴 |
どんな特徴をいかして、どんな用途に使用されているか。
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B.金属の性質 |
針金などを折り曲げたときの変形について
金属が高温で溶ける性質の使用例には
硬鋼や工具鋼の熱処理については
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C.金属の種類 |
材料の種類 | 性質・特徴 | 用途例 |
なんこう 軟鋼 |
炭素含有量が0.3%以下の鋼。 やわらかく、加工しやすい。 |
亜鉛鉄板、くぎ、鉄筋、針金 |
こうこう 硬鋼 |
炭素含有量が0.3〜0.5%の鋼。 じょうぶで、かたい。 |
機械の部品、ワイヤロープ |
たんそこうぐこう 炭素工具鋼 |
炭素含有量が0.5〜1.5%の鋼。非常にかたく、強い。 用途にあるように、「硬くて強い必要があるとき」に使う。 |
やすり、ドリル、バイト |
ちゅうてつ 鋳鉄 |
炭素含有量が2.1%以上の鉄。とけやすく、耐衝撃性に劣る。 鋳物にしか使わない材料である。(鋳物用の鉄=鋳鉄) |
風鈴、鉄びん、万力 |
あえんてっぱん 亜鉛鉄板 |
軟鋼板に亜鉛めっきをして、さびにくくしたもの。 やや薄青色になる。 |
屋根、ばけつ |
ステンレス鋼 |
鋼にクロム、ニッケルを加えた合金。さびにくい、加工はしにくい。非磁性のものもある。 | 食器、流し台、ふろおけ |
おうどう 黄銅 |
鋼と亜鉛の合金。光沢があり、さびにくい。加工しやすい。 別名真鍮(しんちゅう)。10円玉は黄銅。 |
装飾品、管楽器、ドアのとって |
アルミニウム とその合金 |
やわらかく軽い。加工しやすいが酸や塩分に弱い。合金にすると耐食性や強度が増す。ジュラルミンはアルミニウムの合金。 1円玉はアルミニウム。 |
サッシ、リベット、アルミ箔 |
D.他材料との比較 |
鉄、アルミニウム、銅、木材の性質の比較
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(3)プラスチックの特徴と性質、種類 |
石油などを化学合成してつくり出した材料で、種類も多数にわたりますが、大きく分類すれば加熱すれば溶融、冷却すれば固化と軟化を繰り返すことができる熱可塑性プラスチックと、熱や光などで化学反応によって、
再び熱を加えても溶融しない熱硬化性プラスチックがあり、プラスチックは種類により加熱して曲げ加工したり、液体を成型したりすることができます。 特徴
プラスチックの種類を細かく分けて行くと下記のようなものがある。
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(4)新素材について |
特殊な性質を持つ新しい金属素材には、ごく低温で抵抗がゼロになり、強い磁界を生み出しリニアモーターカーなどに利用されている超伝導材料、水素を吸収貯蔵するができ、水素自動車の燃料やニッケル水素乾電池の材料となる水素吸蔵合金や、形を変化させても加熱するなどでもとの形にもどる性質をもつ形状記憶合金、2種類以上の材料を組み合わせもとの材料にないすぐれた性質をもたせた複合材料などがありこれらの素材の開発によって、これまではできなかった製品の製作を可能にしました。 |
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(5)材料の性質比較 |
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(6)環境にやさしい素材を使おう |
現在の産業界ではものづくりをするときに、どういう素材を使ってつくれば地球環境に影響の少ない製品ができるかということが検討されるようになりました。これからますますこのようなことは企業にとって必須になっていくものと思われます。 |
1. | 製造時やリサイクル時に使うエネルギーが小さい… 残り少ない石油などの資源をあまり使わない。 |
2. | 再利用しやすい… 再生に異常に高いコストや多くのエネルギーがかからない。また、手間がかかりすぎないことが重要。 |
3. | 環境に悪い物質を出さない(主に燃焼時)… ダイオキシンや健康に害のある物質を出さない。 |
以上の基準を元に木材、金属、プラスチックのうちどれが環境にやさしいかを考えてみましょう。 |
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木材 |
利点 問題点 |
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金属 |
利点 問題点 |
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プラスチック |
利点 問題点 |
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以上から環境にやさしい素材は木材ということになりますが、プラスチックや金属を利用する場合でも、上記の基準や各材質の説明などをよく読み、材料を適材適所に配することを心がけなければなりません。 |
注) | CO2を排出すると空気中の二酸化炭素を増やし、地球温暖化につながる可能性があります。 |
注) | 「ダイオキシンを出す」とはこの場合、大量に出すことをいいます。実際にはどんなものを燃やしても微量なダイオキシンは出ます。 |
プラスチックのリサイクル率 ダイオキシンとは ダイオキシンはどこで発生するか ダイオキシンはどうして発生するか |
代表的なプラスチック素材 |
名称 | 商品例 | 主な構成元素 |
塩化ビニル(PVC) | 卵パック、ラップなど | 炭素・水素・塩素 |
ポリエチレン | ロープ、ラップなど | 炭素・水素 |
ポリプロピレン | カップ容器など | 炭素・水素 |
ポリスチレン | スーパーのトレイなど | 炭素・水素 |
ABS樹脂 | ストラップマスコット、目覚まし時計など | 炭素・水素 |
燃焼させるとダイオキシンを発生しやすい塩化ビニル製品は極力さけましょう。再生プラスチックを使った再生品化例として下記があります。 |
略名称 | 名称 | 再製品華麗 |
再生PET材 | 再生ポリエチレンテレフタレート材 | 回収ペットボトル |
再生PP材 | 再生ポリプロピレン材 | 使い古された食品運搬用コンテナ、 回収バッテリーケースなど |
再生PC材 | 再生ポリカーボネート材 | コンパクトディスク端材など |
再生PS材 | 再生ポリスチレン材 | 発泡スチロールのケース、CDケースなど |
再生POM材 | 再生ポリアセタール材 | カセットテープのリールなど |
再生ABS材 | 再生アクリロニトリル・ブタジェン・スチレン材 | 家庭用ゲーム機端材など |
生分解樹脂 | 土に返り、燃やしても燃焼カロリーが低く、有毒ガスを発生しない |
ダイオキシンはわたしたちの体内にどうやって入ってくるのか | |
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焼却炉で発生したダイオキシン→大気→雨水など→地上→農作物・魚介類→人体 |
ポリ塩化ビニル(PVC) 有機塩素化合物 |
環境負荷の少ない木材のカスケード利用 |
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(7)製品に適した材料の選択 |
(6)までの学習をもとに使用目的にあった機能・構造を満たす材料を選択しましょう。 ■選択の基準 ・材料の価格 ・加工しやすさ ・必要な丈夫さがあるか ・入手しやすい材料か ・外観が目的に合っているか(美しさ、など) ・耐久性(さびにくさ、くさらない、など) ・重さ ・リサイクルがしやすい材料か |
材料の選択検討 |
「設計構想シート」の「材料の選択検討表」を使って、つくるものの部材を検討しましょう。 |
【「設計構想シート」をダウンロードする 】 |
(8)いろいろな材料を加工してみよう |
(1)〜(5)で学んだ材料の特徴や性質を実感するためにいろいろな材料を加工してみよう。 例) ・木材 ・アルミ板 ・アクリル板 ・木質材料 切る、削る、などの加工を経験しておきましょう。 |