事業方針


戦後60年、つまり戦後が還暦を迎えました。この間に有効であった制度・政策は、現在そのほとんどが有効な機能を果たせなくなりつつあります。これは、価値観の多様化に対して、現行の制度・政策では対応できなくなりつつあることを示しているのではないでしょうか。
戦後の日本を支配してきた価値観に、「物質的な豊かさ・便利さを善」とする考えがあります。決して、「物質的な豊かさ・便利さが悪」だなどとは言いませんが、しかしながら私たちはその物質的豊かさの謳歌の陰に、日本の伝統的精神文化や道徳を置き忘れてきたのではないでしょうか?そして私たちは、知らなければならないと思います。謳歌してきた物質的豊かさは「略奪資源」によって成立してきたことを・・・。すなわち、他国や他の地域から、そして未来から略奪してきた資源であることを。

また、「物質的豊かさや便利さ」は、人々に時間の余裕を与えたとする考え方もありますが、現実は逆なのではないでしょうか。「さまざまな便利な機械によって、更なる時間短縮が可能」という宣伝にもかかわらず、誰しも「それで確保された筈の時間はどこに消えてしまったのか。」と感じたことがあるはずです。結局、生み出された時間は次なるレベルの競争へと投資され、時間は私たちの前をすり抜けて行くのです。このように略奪資源によって成立した浪費や、次なる競争へとの投資を可能にする便利さを追求する競争の過熱は、地球上や地域の貧富の格差を広げ、地球環境の崩壊を早め、社会の息苦しさを加速させてゆくに違いありません。

当社は設立以来、中学校の技術・家庭科の教材メーカーとして教材の開発・販売へと邁進し、本年21年目を迎えるに至りました。これからの時代、企業は持続可能な成長を前提にした、果たすべき社会的使命(どういう人材を育て、どういう社会を実現したいのか)をより明確に掲げて活動してゆく必要があると考えます。
私たちはこう行動します。

「人と地球にやさしい社会」「持続可能で、心豊かな人間を育む社会」構築のために、ものづくりを通して健全な勤労観を養い、地球環境の維持・改善や、資源の有限性を前提にした、ものづくり・家庭生活に対する教育に取り組みます。そしてすべての子供たちが身につける教養や技術的・家庭的素養により技術・生活を自ら評価でき、より適切な経済を形成するための消費者、世論を形成する主権国民、共生経済を形成する経営者、社会起業家などを育てるものづくり教育を推進します。
そのことがこれからの子供たちにとっても、社会にとってもよりよい未来をもたらすものと信じます。

 

代表取締役 長田 有弘